Home > 教育プログラム | 成果報告 HomeSite MapEnglish
この21世紀COEプログラムについて
研究プログラム
教育プログラム

実施計画
成果報告
      15年度
      16年度
      17年度
      18年度

セミナー・シンポジウム
募集
アクセス・コンタクト
リンク
メンバー専用

教育プログラム

研究拠点形成実績報告(成果報告)

‖18年度(2006年度)‖

  研究拠点形成実績の概要
  教育活動

 研究拠点形成実績の概要

過去3年間に確立した体制を更に発展させ、研究・教育計画を実行に移した。

(1) 拠点運営・研究体制の充実:17年度の研究員転出に伴い、新たに、客員講師3名と客員助教授1名の計4名(公募により本学以外から2名、うち外国人1名)をCOE研究員として採用し、推進者とCOE研究員10名で研究活動を推進した(平成18年度決算報告書(様式13)COE研究員人件費5403万円)。大学によって認可されたプロジェクト研究所「自己組織系物理ホリスティック研究所」を本COEの研究活動の拠点とした。大学からの支援経費(約600万円)を利用し25名の非常勤講師を採用し、事業推進者の担当講義・実験などの教務負担の軽減を図った。

(2) 外部資金の活用と研究設備の充実:個々の研究テーマは主に外部資金によってまかない、COE助成金を若手研究者の雇用経費、RA費、奨励研究費及び事業推進費にできる限り充てるため、引き続きグループごとテーマごとに科学研究費を中心に外部資金、また学内資金の獲得に動いた。本年度のCOEプログラム追加助成申請にも応募し、この追加資金は創造グループの計測装置導入に集中させた。多辺は科学研究費特定領域研究(18-22年度)に、大島はJST先端計測分析技術・機器開発事業(18-20年度)に、森島はJST振興調整費・重要課題解決型研究(H18-20年度)に新たに採択され、計測実験装置の充実を図った。石渡と木下はそれぞれ独立に科研費特別推進研究を、大島は科学研究費基盤Sを、竹内らは私立大学学術研究高度化推進事業学術フロンティア研究を継続している。

(3) 若手研究者の養成・教育制度の充実:18年度は、RA20名を採用した。昨年同様客員講師(PD)には「奨励研究費」を助成し独自研究を支援するとともに、本専攻の博士課程学生にも、公募・選考の上「奨励研究費」を助成した(平成18年度交付申請書研究拠点形成実施計画(1))。PDが中心となって企画する大学院登録科目「ホリスティック物理学特論」を引き続き実施した。この科目は、PDにとっては将来的な研究指導の予行演習の場となり、また大学院生にとっては物理・応物の様々な分野で研究する年齢の近い若手研究者の生の声を聴き議論を戦わせる機会を与えることを目的としている。また、大学院登録科目「自己組織系物理学特論」(講師:飯島澄男(名城大)、豊島近(東大)、須藤靖(東大))を引き続き開講し、最先端の研究を大学院生に早くから意識させるように仕向けた(同計画(5))。更に若手研究者・学生の学位取得後の就職を促進するため、今年度より新たにCOEキャリアパス・セミナーを開催した。今年度は6名の博士課程学生を短期留学させ、3名の博士課程研究員を受け入れた(同計画(8)、同決算報告書(様式13)外国旅費)。第2回ノーベル・レクチャー(R. MacKinnon, 03ノーベル化学賞受賞)を開催し、世界第一線の研究者と学生が直にやり取りをする機会を設け、またシンポジウム等で招聘した外国人には若手ポスター発表の講評を依頼するなどし、学生の研究意欲を鼓舞した(同計画(6))。

(4)
連携と集中:研究分野が異なる客員講師(PD)と博士課程研究補助員(RA)を集めた学外拠点“相互研鑽の場”を一層整備し、外国人ゲストとの交流等にも活用した。推進者同士の情報交換の場である「COE談話会」(昼休みを利用して軽食を用意し学生も自由参加)を引き続き開催し、研究の着眼点、失敗談を論じ合う機会を定期的に設けた(同計画(4))。自己組織系物理海外ネットワークの充実、海外共同研究の推進、博士課程学生の相互指導制度の活用を目的として外国人研究者数名を1ヶ月程度招聘した。研究面では、中間評価の指摘を真摯に受け止め、異分野交流を目的化することなく、方向性の定まってきた研究の推進に時間・資金を集中した(同計画(2)(3))。例えば、上江洲らが中心となり画期的なSHG(secondary harmonic generation)トモグラフィー(学術フロンティア助成金を利用)による材料診断システムを構築した。また同助成金で導入した極低温物理特性測定装置の共同利用をシステム化し、例えばコバルト層状酸化物の熱電効果に関する物理に著しい進捗が現れた。

(5) 対外発信:4回自己組織系物理シンポジウム(参加者170名)を、「凝縮系の自己組織化」をテーマに、9月に開催した(同計画(7))。随時更新の和文、英文によるWebページ(http://www.coe21.phys.waseda.ac.jp/)、次世代を担う学部生に対象を絞った平成17年へ活動報告書等を通じ本拠点の特色、研究成果、教育活動を内外に向けて発信した。また新たに仏ESPCIと箇所間協定を締結し海外ネットワークを拡充した。韓国・高麗大学のBK21(Brain Korea 21、日本の21世紀COEに相当する政策)の学長を初めとする研究組織の来校時に、本COE拠点の取り組みを紹介し、国際的な共同研究の実施状況、技術移転及び産学連携の状況等に関する具体的な取り組みを中心に懇談した。
 

 教育活動

 
(1) 客員講師(PD)、博士後期課程研究補助員(RA)の雇用:平成18年度は、客員助教授2  名、客員講師(PD)8名を雇用した。このうち4名の他機関への転出(名城大学助教授、東北    大学助教、カナダ・アルバータ大学PD、フランス・カーン大学PD。1名がパーマネントポジション)が決まった。また3名が本学客員講師(大学資金により雇用)となった。19年度は最終年度であることを考慮し、即戦力となるCOE研究員の学内公募(教授推薦)による選考を行った。新たに5名(応募者7名)を採用する。大学院生RAの学内募集と選考を行い、グループリーダーからなる選考委員会によって書類審査で20名(飛び級1名、外国人1名)を採用した。昨年度同様研究実績を考慮して二段階の支給額を設定し、平均月額5万円10ヶ月(1名は半期5ヶ月、転出により2、3ヶ月もそれぞれ1名)を支給した(同決算報告書(様式13)RA費922万円)。

(2) 奨励研究費:昨年同様、客員講師(PD)に対しても学内公募として研究課題を募集した。申請内容また科研費の採択の有無も鑑み奨励研究費の重点配分を行った。同様に学内公募によって、博士課程学生、本学研究員を対象に研究課題を募集し、選考委員会による審査を経て30件を採択した。特に学生の課題に対しては研究実績だけではなく着眼点、新規性を重視して、研究意欲を鼓舞する意味も含めて採用を増加させた(同計画(1)、同決算報告書(様式13)奨励研究費1490万円)。

(3) 博士課程へ進学する修士課程学生への支援:博士後期課程進学が内定した専攻修士課程(M2)学生に対し、経済的支援と研究意欲の鼓舞を促す目的で、実習補助員を募集した。選考委員会による会議を行い、後期に6名を採用した。

(4) 客員講師(PD)による講座:客員講師の将来の研究指導能力を伸ばす目的と、博士・修士課程学生の異分野間の交流を促進する目的で、「ホリスティック物理学特論」を継続開講した。客員講師が週一回ゼミ形式で学生の発表を中心とした討論会を企画し、学生に対して、研究を進める上での考え方、プレゼンテーションの仕方を忌憚なくアドバイスしている。学生には毎回、発表の要旨と事後評価を電子メールで回覧している。

(5) 第一線研究者との交流:博士、修士課程学生に対し早くから研究に対する問題意識、研究意欲を植え付けることを目的とした大学院登録科目「自己組織系物理学特論」を継続開講した(同計画(5))。今年度は飯島澄男(名城大、物性物理)、豊島近(東大、生物物理)、須藤靖(東大、宇宙物理)三氏による集中講義を行った。講義後、推進者も交えてじっくりと質問等をかわす時間を設けた。本講座は理工学研究科の他専攻にも公開し、他専攻からも受講者があり、聴講者30名以上を数えた。COEノーベル・レクチャーとして、ロデリック・マッキノン教授(米国ロックフェラー大、2003年ノーベル化学賞受賞)を招聘し公開講演会を行った。近郊の大学・研究機関からも問い合わせが多数あり参加者は約280名を数えた。学生がマッキノン夫妻に直接質問する会を設けた。様々な質問が和やかな雰囲気の中に飛び交い、学生らはマッキノン教授のものの見方・考え方・何より行動の仕方について、文字通り肌に触れて感じ取り鼓舞されたこと間違いない。自己組織系物理シンポジウム(9月6-8日。同計画(7))は、副題を「凝縮系の自己組織化」として開催し(参加者170名)、物性物理の専門家を内外から招聘した。ナノサイエンス、強相関電子系、ソフトマターなどの諸テーマに対し、様々な角度からの知見を持ち寄り議論することによって、これまでとは質的に異なる凝縮系の自己組織化に対する理解を深めることを目的とした。推進者との議論はもちろんであるが、招聘者同士の議論がセッション中はもちろんのこと懇親会でも相次ぎ、成功裏に終わった。また今回の招聘がきっかけとなり共同研究を始めた研究室も出てきた。学生の研究意欲を刺激するためポスター賞を制定し、招聘者には審査委員になっていただき、2名の研究を表彰した。

(6) 海外研究教育機関との交流:博士後期課程学生6名を海外研究機関へ派遣し、また3名の外国人学生を受け入れた。更に、海外共同研究ネットワークを充実させ、博士後期課程学生の相互指導制度を行うため6名の研究者を比較的長期間招聘した(同決算報告書(様式13)外国人招聘旅費)。この外国人研究者招聘がきっかけとなり2008年夏より本学博士研究者を派遣することが決まった。また箇所間協定を結んだ仏サボア大学へは18年4月より交換学生を派遣し、学位論文の相互指導を行った。更に仏ESPCIと箇所間協定を締結した(同計画(8))。上述したように高麗大学BK21の学長を初めとする組織の来校時に本COE拠点の取り組みを紹介し懇親を深めた。

(7) COEセミナー・ワークショップの開催:テーマを絞ったCOEセミナー・COEワークショップを随時開催した。合計20回を数える(同計画(6))。また、学生の学位取得後の就職を支援するため新たにCOEキャリアパス・セミナーを開催し、学位取得後の多様な道のりを紹介する機会を設けた。更に、文部科学省「科学技術関係人材のキャリアパス多様化促進事業」採択によって本学に設立されたポスドク・キャリアセンターとの連携を深めた。

(8) 成果の保存と公開:本拠点の成果を恒久的に残すため本学図書館情報リポジトリと連携し、成果の電子データベースを作成する準備に入った。また、自己組織系物理学とは何かを問う成書出版を企画し、出版社と会合を設け、具体的なテーマやスケジュールの調整に入った。
 


WASEDA UNIVERSITY