16年度は計画の推進に努め、その結果、以下に示す成果を得た。
(1) 拠点運営・研究体制の充実:共同研究の時間を最大限に確保し、各グループリーダーの事務レベルの負担を軽減し、全体を管理運営するため、16年度より新たに客員助教授を雇用し、COE事務員(2名)とともに運営体制を更に充実させた。新たに、客員講師7名(公募により、本学以外から4名、うち外国人1名、海外研究機関経験者から2名を採用)を採用し、COE研究員を9名に充実させた(平成16年度決算報告書(様式9)人件費6264万円)。大学によって認可された「自己組織系物理ホリスティック研究所」を本COEの研究活動の拠点とした。更に大学支援経費(約600万円)により19名の非常勤講師を採用し、事業分担者の教務負担の軽減を図った。
(2)
外部資金の獲得:COE助成金を若手研究者の雇用経費と事業推進費に充てるため、
各グループリーダーが中心となって科学研究費を中心に外部資金に応募し、例えば石渡
は国際共同事業(生物物理;Rockefeller大等と共同)としてHFSPグラントに、そして
21COEのコアメンバー(代表:竹内)は2005年度私立大学学術研究高度化推進事業学術
フロンティア研究(物性物理)に採択された。
(3) 若手研究者の養成・教育制度の充実:16年度は、RA20名を採用した。客員講師(PD)
には「奨励研究費」を支給し独自研究を支援するとともに、本専攻の博士課程学生にも、
公募・選考の上「奨励研究費」を支給した(平成16年度交付申請書研究拠点形成実施計
画(1))。PDにとっては将来的な研究指導の予行演習の場となるよう、大学院生にとって
は物理・応物の様々な分野で研究する年齢の近い若手研究者の生の声を聴き議論を
戦わせる機会となるよう、PDが中心となって行う大学院登録科目「ホリスティック物理学特
論」を開講した。このように分野を超えた意見交換が自然に行える仕組みを整備した。大
学院登録科目「自己組織系物理学特論」(講師:木下一彦、太田隆夫)を設置し、研究の
最先端を大学院生に早くから意識させるように仕向けた(同計画(2))。更に、大学院生の
競争力促進のため、仏サボア大学との箇所間提携を結んだ。16年度は4名の博士課
程学生を短期留学させ、3名の博士課程研究員を受け入れた(同計画(5)、同決算報告
書(様式9)外国旅費招聘外国人滞在費)。また、シンポジウム等で招聘した外国人には
若手ポスター発表の講評を依頼するなど、世界一線の研究者と英語で直にやり取りをする
機会を設けた。
(4)
有機的連携:拠点リーダーが中心となって学内申請を行ったプロジェクト研究所「自己
組織系物理ホリスティック研究所」(COE推進者と客員教員で構成される)の活動を開始し
た。研究分野が異なる客員講師(PD)と博士課程研究補助員(RA)を一箇所に集め、光無線
の導入を行い、“相互研鑽の場”を整備した(同決算報告書(様式9)設備備品309万
円)。推進者同士の情報交換の場である「COE談話会」(昼休みを利用して軽食を用意し
学生も自由参加)を提案し、研究の着眼点、失敗談を論じ合う機会を定期的に設けた(毎月
開催)。共著論文(寺崎・上江洲・勝藤、田崎・中里等)を執筆するなど各グループ間の連
携は著しく進捗し、また若手研究者の自主的な連携(PD加藤の実験結果の理論解析を
PD湯浅が行い共著論文をPRLに発表)が成果として現れた。
(5)
対外発信:
随時更新の和文、英文によるWebページ(http://www.phys.waseda.ac.jp/coe21/)、次世代を担う学部生に対象を絞った平成15年度活動報告書、第2回自己組織系物理シンポジウム(参加者130名)等を通じて、本拠点の特色、研究成果、教育活動を内外に向けて発信した。学術誌の成果発表には本プログラムへの「謝辞」を明記した。スーパーサイエンスハイスクールに選定された高校の研究室見学、オープンキャンパス等の学内行事の機会を利用して一般市民に対する研究教育活動のアピールを行った(同計画(4))。