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セミナー・シンポジウム

第1回COE(自己組織系物理)ワークショップ

Steven Chu教授 (Stanford大 ’97年ノーベル物理学賞受賞)
“Protein synthesis by the ribosome: why does it work so well?”
[要旨]
Chu教授は、1997年に原子のレーザー冷却法の開発でノーベル物理学賞受賞し、その後は同じレーザートラップ法を用いて生体高分子の1分子レベルでの研究を展開されています。講演では、タンパク質合成工場であるリボソーム上でのタンパク質合成の1分子計測に関する最新の研究成果をお話いただきました。 リボソーム自体、何十ものポリペプチド鎖とRNAとが自己集合して出来上がる、複雑精緻な生体超分子構造体の典型です。リボソームをテープレコーダーとすると、遺伝子情報を蓄えたメッセンジャーRNA(mRNA)が読み取りテープに相当し、読み取られるそばからトランスファーRNA(tRNA)が運んでくるアミノ酸を順番につなげ、一本のポリペプチド鎖(タンパク質)を合成します。そこにはエネルギー消費を伴う1次元の一方向性運動が存在します。リボソームはタンパク質合成工場ですが、その中には、情報読み取り(情報処理)部門、ペプチド合成(化学)部門、一次元生体運動(物理)部門といった、各要素技術を備えた部門が存在します。10nmほどのスペースに、全ての生物機能を担うタンパク質の合成に必要な全てのプラントが内蔵されているのです。その仕組みがどのようなものか、”自己組織系物理”の眼からみても、興味の尽きない内容でした。

*なお、Chu教授は量子エレクトロニクスとレーザー分光学に関する日米セミナー「量子相関とコヒーレンス」(幹事:東大 五神真教授、ハーバード大学 John Doyle教授)に参加する目的で来日されました。

[プログラム]
紹介教員 石渡信一
日 時 2003年9月16日(火) 9:50〜11:20
場 所 早稲田大学理工学部62号館1F大会議室 [地図]

[講演風景]
(クリックで写真が別ウインドウで拡大します。)
 
ワークショップは、石渡代表による「早大物理系の21世紀COEプロジェクト」の説明から始まった。   続いて、Chu教授を紹介する石渡教授(ちなみにファーストネームで呼び合う仲とか)。
 
物理学にもとづいて生命現象を探求するSteven Chu教授の講演が始まった。   会場は後ろまでびっしりで70人を超える聴衆、立ち見も多数。
 
約1時間の講演に続いて質疑応答に入る。   当初、専門的な質問が続く。
固体物理から生物物理に研究対象を変えたことについて、勝藤助教授が質問すると、「分野の変更は大いに奨励したい。私自身の研究生活は、別の分野からスタートして、原子のレーザー冷却法にテーマを変え、さらに、ノーベル賞受賞以前に、生物の研究を始めた。」とのこと。

ノーベル賞の受賞によって生活に変化がありましたかという石渡教授の質問には、「科学についての助言などの仕事が増え、社会に対する責任が増えた。」とのこと。
休みはほとんどとれないとのことでした。

他分野の聴講者を多数含む講演でしたが、わかりやすいようによく工夫されたプレゼンテーションで、自己組織系の物理の研究者にとってきわめて興味深い内容でした。 


早大物理系21世紀COEのロゴを囲んで。大場工研委員長、深澤教務部長らとともに。
(講演風景の文責:竹内 淳)
WASEDA UNIVERSITY