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第1回COE(自己組織系物理)ワークショップ [通算第7回]

生物の運動メカニズムに関する研究会
日 時 2004年8月4日(水)〜8月5日(木)
場 所 早稲田大学理工学部
〒169-8555 新宿区大久保3-4-1[地図]
会 場 8月4日:55号館N棟1階大会議室A
8月5日:55号館S棟第4会議室
講 師 関本謙 氏(ルイ・パスツール大学)
宗行英朗 氏(東京工業大学資源化学研究所)
村山能宏 氏(東京大学大学院理学研究科)
樋口秀男 氏(東北大学先進医工学研究機構)
Mr. Damien Simon (ENS)
要 旨 近年、生物の運動について物理的手法を用いた研究が盛んに行われている。
一分子計測が可能になったことによって、モーターたんぱく質等の生体を構成している要素(生体要素)の特性が徐々に明らかになっていく一方で、生体要素の集団として構成される、組織、細胞の運動に関しても数多くの研究がなされている。

生物を物理学として理解していくためには、一分子の挙動、つまり生体要素の振る舞いを理解すると共に、生体要素の集団運動としての組織、細胞の運動を理解しなければならないが、集団となることによって働く物理的な拘束などのため、要素と集団の関係は単純でない。さらに、実験事実を説明する理論についても、現状では、定性的な議論にとどまっているものが多い。

我々は、実験と理論とのより定量的な対応を築くことが、生物の運動に対するより深い理解へとつながると信じており、そのためには、実験家と理論家との交流・議論を活発に行うことが不可欠である。そこで、生物要素の(集団)運動について、今回は一分子運動に焦点ンを絞り、実験による最近の知見について理解を深めることを目的に、下記の要領で研究会を開催します。ふるってご参加下さい。
紹介教員 田崎秀一 山崎義弘


[プログラム]
■8月4日(55号館N棟1階大会議室)
10:30−13:40 村山能宏 氏(東京大学大学院理学研究科)
「凝縮転移下でDNAを引っ張る」
生命の基本分子であるDNAは、細胞内で小さく折り畳まれているが、必要に応じて解きほぐされその情報が読み取られる。遺伝子発現や複製時の反応機構に、DNAの物理・化学的性質はどのようなえ影響を及ぼしているのであろうか。DNAは水溶液中で負に帯電しており、1価陽イオン存在下では広がったランダムコイル状態にあるが、多価陽イオン存在下では高度な凝縮形態をとることが知られている。我々は光ピンセットを用いた1分子計測の手法で、凝縮転移下における1分子DNAの張力応答を測定した。その結果、凝縮DNAは多価陽イオン濃度に依存して2つの特異な力学応答(プラトー特性とスティック・リリースパターン)を示すことが分かった。
前半でDNAの1分子計測(引っ張り、捩じり、酸素反応下での力学応答等)及びDNA凝縮転移の背景について、後半では我々の実験結果について、力学応答から得られる凝縮エネルギー、凝縮剤濃度変化に伴うリエントラント転移、応答パターンと凝縮構造などについて述べる。また余裕があれば、凝縮転移下での対イオン交換、生体内におけるDNA凝縮構造との関係についても述べたいと思う。
14:40−17:50 樋口秀男 氏(東北大学)
「1分子研究から見えてきた,タンパク質の運動,制御そしてシステム化」
1分子蛍光法と1分子ナノ変位計測を用いて,タンパク質1分子の挙動を解析した。その結果,(1)運動タンパク質キネシンのステップ状変位がファインマン型の熱ラチェット機構を介して発生していることを見いだした。(2)ミオシンVのネック部位に結合したカルモジュリンの脱着はCaイオンによって制御されており,1分子のカルモジュリンの脱離が運動を阻害することが明らかとなった.(3)毒素タンパク質は六量体を細胞膜状で形成することで,膜に孔を空ける過程が1分子レベルで明らかとなった.
               
■8月5日(55号館S棟第4会議室)
10:30−13:40 宗行英朗 氏(東京工業大学資源化学研究所)
「生体膜の分子機械」
生体膜には物質の輸送,情報伝達,エネルギー変換などの役割を担う膜蛋白が多数存在している.その中でイオンチャンネルは,single channel recording等の方法によって一分子での活性が早くから測定されてきたし,光駆動性のイオンポンプではレーザーフラッシュによるsingle turnover の測定実験が一分子観察に相当する実験結果を与えてきた.これらの分子機械についての研究から得られてきた描像と,近年分子モーターとして一分子観察によって研究が進んできているATP合成酵素のF1部分についての知見や,すでに提案されているモデルを比較して,共通点,相違点などを議論してみたいと思う.
14:40−16:10 Mr. Damien Simon (ENS)
「Relations between genomic diversity and genealogy : what does the distribution of genomes in a population teach us about our most recent common ancestors ?」
We consider here a simple model of asexual reproduction in a population of constant size with a modelization of the genome as simple as possible. We studied the link between the distribution of genomes in groups of individuals and the characteristics of their genealogical trees. In particular, we first derived the probability distribution of a given repartition of genomes and highlighted a symmetry breaking phenomenon and then we studied the averaged coalescence time of lineages in several different limits.
16:20−17:50 関本謙 氏(ルイ・パスツール大学)
「Role of mechanical stress in actin gels」
Through an analysis of a simple biomimetic experiment of actin gel polymerization, we discuss the basic ingredients for the motility of cell and cellular organelles.



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