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第3回21世紀COE自己組織系物理シンポジウム概要

 早くも第3回を迎えた今回のシンポジウムは、2005年9月1,2,3日に開催されました。今回はテーマを宇宙物理とその関連分野(Astrophysics as Interdisciplinary Science)としました。宇宙の大規模構造の形成機構や高密度特異天体の起源とその性質、さらには宇宙を満たしているダークマターやダークエネルギーの正体にいたる宇宙物理学の重要な諸テーマに対し、従来の素粒子・原子核理論に加え、統計物理学、物性理論・実験などより広い分野からの知見をもちより議論をすることにより、これまでとは質的に違った現象に対する理解を深めることを目的としたのです。
 参加者は前回同様約130名でした。招待講演者としてD. Heggie 教授(英国、エジンバラ大) 、H. A. Posch教授(墺、ウイーン大) D. Lai教授 (米国、コーネル大)、らを招聘し、理論、観測結果、実験を含めて最新の研究結果を議論しました。早稲田からは、寺崎一郎教授、田崎秀一教授がそれぞれ物性物理の観点からの本質的不均一性、無限量子系へのC*-algebraicの適用について講演を行いました。今回のシンポジウムの一つの特徴は、若手研究者からベテランまで参加者の年齢層が幅広く、また多くの国(インド、イスラエル、エジプトなど)からの参加者があったことです。国内他大学の大学院生の聴衆としての参加も多々ありました。また講演でも若手研究者の質問が相次ぎました。学外からの研究者、PD、RAによるポスター発表を行い、招聘講演者には昨年同様ポスター賞の審査員となっていただきました。シンポジウム委員長の前田教授が講評を行い、次の4名の学生の研究を表彰しました。
・中里健一郎”Gravitational Collapse and Neutrino Emission of Population III Massive Stars”
・横田紘子”Non-ergodic behavior of the polar state of KTaO3 doped with Li under the electric field”
・新沼浩太郎”EGRET Unidentified Source Radio Observations and Performance of Receiver Gain Calibration”
・峰真如”Effect of Zero Mode on the Response of Trapped Bose-Einstein Condensates”
 最終日にはD.Heggie 教授にConcluding Remarksを依頼しました。教授曰く、普通の宇宙関連のシンポジウムの講演は80%が聞いた話だ、しかし早稲田のシンポジウムは80%が未体験の内容であった。その意味で今回のシンポジウムは非常に刺激を受けたし、興味深かった、と。このシンポジウム期間を通じて学生を含む若手研究者は世界の先端研究者の研究哲学に直接接する機会を得て、大いに刺激を受けたことは間違いありません。今後の早稲田COEの特に若手研究者のさらなる発展にご期待下さい。
 以下にシンポジウムの様子を記した写真を示します。



招聘研究者らと。アジア、ヨーロッパ、アメリカと様々な国からの参加があった。


会場風景。若手からの質問も相次ぐ。{


バンケットで挨拶をする前田組織委員長。
 
Heggie教授のレビュー講演。有限重力系の非平衡系の振る舞いを統計物理の基礎問題として捕らえる。


57号館ホワイエポスター会場。時間の許す限り議論が続く。計59件の研究発表があった。


学生4件の研究をポスター賞として表彰した。

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